「SF教室」(1)

Sfk

また思い出話しを少し。

図書室少年だった中学生が見つけた一冊。
タイトルはその名も「SF教室」、作者は筒井康隆。
真新しさから察して、自分が初めての読者のようだった。
まだ意識的にSFを読む、という段階ではなかった自分の興味の扉が、
誰にも気付かれず、ひっそり書架に収まっていたこの本によって、
一気に開かれたのである。

タイトル通り著者が、まさに講師となってSFという文学の変遷から、
様々なジャンルの解説、作家のプロフィールや代表作など、
子ども向けにしてはマニアックかつ的確で、しかも、ここが重要なのだが、
SFがまだまだ可能性無限大、末広がり的な肯定的ムードで綴られていた。
たくさんの図版とともに解説され、本格的なSFの知識はこの一冊で身についた。
そのポジティブ感は、中学生の好奇心をたきつけるに十分だった。

もう借りるのでは飽きたらず、結局購入して、飽きるまで眺めていた。
時々ミステリーや冒険小説に浮気しても、これを読み返すとSFに戻っていく。
ラリー・ニーヴンやポール・アンダースン、「星を継ぐ者」など、
ハードなタイプのSFがそのころの最先端で、そこからすると
内容的にだいぶ古めかしいのだが、それがかえって教科書のように
基本を押さえたくなる気持ちにさせる、なかなかにくい本だった。

てなことを、最近思い出して、ぜひ今一度手に取ってみたいと思ったのだが、
もうとうにどこかに行ってしまった。しかし手はあるはず。
オークションをあたってみたらあったあった。
入札ゼロ。35年前の図書室と一緒だ。
ただし3000円と、高くはなっていたが。
そして、まあ手に入れたのだ。
いや、手元に戻ってきたという感覚だ。

(つづく)



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