Flowers for Algernon / Daniel Keyes



4冊目。
Daniel Keyesは、この“Flowers for Algernon”(『アルジャーノンに花束を』)のテレビドラマ化や再映画化や、ノンフィクションのベストセラーなどで、寡作ではあるものの、今ではよく知られる作家なのだろう。良い評判は目に入っていたしネビュラ賞も受賞していたりと、ずっと読みたい気持ちもあったのだが、以前は早川からハードカバーで出ているだけだったので、ついつい今日に至ってしまった。花束の表紙にもちょっと引いていた気がする。そんな、置いてきぼりにしてしまった一冊だ。でも、それで良かったのかもしれない。10代の頃に読んでいたら、運命に翻弄されたCharlyの物語を、一つの数奇な寓話として理解するにとどまっていたかもしれない。
物語は、知的障害を持ったCharlyの目を通して語られる。自分には知的障害の子を持つ親の気持ちも、家族の気持ちもわからない。差別についても。唯一わかるのは、時の奔流を誰も止めることはできない。ただ、無情に過ぎていくということだけだ。手術によるIQの劇的な向上とそれに付随するように、世の不条理を次第に察知ていく。何度となく投げかけられる“why?“ 。Charlyの問いかけは、けして答えのない、誰もが目線をそらしてしまうような事柄だ。いつの間にか50代になり、家族も持ち、子どももいて、なんだかんだとそれなりの人生経験を経た今の自分にさえ、彼の問いかけに何一つ答えることはできない。友について、親と子の関係について、恋愛について、SEXについて、日常的な幸福について。そして気づく。Charlyの問いかけは、子どもの頃、自分自身が幾度となく自問していた“あの“問いかけだと。いくつもの“why?“を、忘れていた自分の過去から現在の人生の断片に投影し、そして考えさせる構造の物語だ。
これは感動してくださいという物語だとは思わない。読み手が自分自身と向き合い、正視する物語だと思う。





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