Brightness Falls from the Air(2) / James Tiptree Jr.




さて、惑星Damiemには、ならではの観光イベントが2つあった。
1つはDameiiとよばれる先住民との交流である。表紙に描かれている”Winged people(飛翔種族)”たちだ。Dameiiの特長として、まずもって美しくその姿は”escapes all words(筆舌尽くしがたい)”こと、身体的に華奢で喧噪を好まない”totally vulnerable(全般に傷つきやすい)” こと、 そして非常に無垢で”real live actual angels(本物の天の使い)”のような存在であることが挙げられる。彼らは木の上で生活し、音楽を奏で、独自の言語で調和の取れた社会を築いている。男女の性別もあり、年長もいれば子どももいる。年長は用心深く、子どもは好奇心旺盛だ。この美しい種族をFederation(連邦政府)は保護し、Damiemに代々administrator(管理者)を置いているのだ。

2つめはオーロラのような壮大な天空のスペクタクルだ。惑星Damiemから20光年のVlyracochaという惑星を持つ恒星がノヴァ化し、その余波で"nova-front "とよばれる波状の放射性ガスが時間とともに徐々に惑星Damiemに接近し、上空に劇的な影響を及ぼすのだ、物語はまさに"nova-front "が惑星Damiemをとらえ、天体のショーがピークを迎えるようかというタイミングから始まる。

それぞれの思惑を持って惑星Damiemに降り立つvisitorたち(拙画右の13名)。彼らを快く迎え、宿泊所を提供し、案内しながらも、細心の注視を怠らない3名のadministrator(管理者)(拙画左の3名)、女性主席管理者のCory、補佐官のKip、そして医師のBaramを軸に、各々の立場で人間模様が複雑に交錯しながら物語は進んでいく。

補佐官のKipの口から、Dameiiたちの悲しい過去がが語られる。
"Star Tears(星の落涙)" それはDameiの背面からにじみ出る非常に微量の体液で、それを摂取することで多幸感を味わえる上に副作用もない酒のようなものだ。その価値は天井知らずで、ボトル1本に対し一生分の蓄えが必要なほどの途方もなさ。そして流通する過程で、密造を目論むgangが、いつしか恐ろしい発見をしてしまう。"Star Tears(星の落涙)"生成の過程で、Dameiに極度の精神的苦痛と喜びが入り混じった時、"Standard vintage"と呼ばれる最高品質のものが生成されることを。それ故多くのDameiのサディスティックな虐待、虐殺が繰り返されたのだ。Federation(連邦政府)軍が惑星Damiemを発見しgangを制圧、DameiはFederation保護のもとに置かれ、悲劇に終止符が打たれる。

また、女性主席管理者Coryによって別の悲劇が語られる。
美しいオーロラを生み出すもととなったVlyracocha星系のノヴァ化の原因。それは過去、連邦軍がVlyracochaに超兵器が隠されているという大義でVlyracocha星系を恒星ごと破壊してしまったのだ。しかし実はこれは狂気にかられたある指揮官の個人的な暴走の結果であったのだった。惑星Vlyracochaの民は種族ごと殲滅され、恒星はノヴァ化したのだ。”The Murderd Star(殺戮された星)”。それが惑星Vlyracochaの真実だった。

Grid worldと呼ばれるエンタメ惑星から、10代の男女4人のポルノスターを連れ、ある種のドキュメントを撮る目的で訪れていたカメラマンであり監督のZannezはこう漏らした。
”Double Shame Star(2重に無残な星)”
"Star Tears(星の落涙)"の悲劇とThe Murderd Star(殺戮された星)”の悲劇。惑星Damiemの2つの美しき情景、”Winged people(飛翔種族)”と天空のオーロラ、その背後にそれぞれ黒い歴史が隠されていたのだ。そしてそれは大きな禍根なって、今この瞬間、"nova-front "の通過とともに、大いなる咆哮をもって牙をむいてくるのであった。

(つづく)

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