The Canopy of Time / Brian W. Aldiss



1冊目。
Brian W. Aldissといえば『地球の長い午後 』。ガイド類では必ずといっていいほど推されているのだが、なぜだか読んだことがない。たぶんそのうちそのうちと思っていたのだろう。ビッグネームの割に邦訳も少ない。映画『A.I.』の元になった短編も彼の作品。表紙が気に入ってジャケ買い。邦訳は無いようだ。
10の短編と中編一つから成る。タイトルからしてタイムパラドックス的な展開を想像していたが、全く違った。“the canopy of heaven ”で「青空」という意味らしく、“The Canopy of Time”なら、「時空の彼方」のようなイメージだろうか。近未来から遙か先の未来まで壮大な時間軸で、種とか文明の行き着く先とか壮大なテーマを扱った小さな物語が展開される。さまざまな場所で発表された短編をひとまとめにしたものなので、たがいに直接関連はしていないが、「あまり歓迎されない未来と、人間の進むべき道」のようなテーマは一貫している。
短編の故、登場人物の心理描写や物語の背景の説明などは細かく書き込まれていない。また、多くは対立する者同士の1対1の議論となる展開が多く、演劇的な感じもした。おおむね最後の数行に大なり小なり落ちをつけているため、日本で言えば星新一のような感じもしたが、全体に静寂感が漂う詩的な味わいがあるため、それが古くさい落ちであったとしてもさほど気にならなかった。表紙は内容をよく表していると思う。

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