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The Guns of Avalon / Roger Zelazny





剣と魔法の世界と現代感覚のブレンド



20冊目。
Roger Zelaznyの”The Guns of Avalon”(1972)を読了。ハヤカワ文庫SF版(『真世界シリーズ2 アヴァロンの銃』)は絶版。"Real World"(真世界)シリーズ第2弾である。

早速アウトライン。



[ふたたびShadowへ]

●Amberの領主となった兄弟Ericによって両目をえぐられ、Amber宮のdungeonに幽閉されていた「私」(Corwin)は、4年のうちに視力が回復、数奇な出会いを経て一旦Amberを脱出。Shadowとの接点にある”light house of Cabra”(カブラの灯台)に身を寄せる。1年間身体の恢復を待ちながらEricへの報復の一手を画策していた。
●「私」はあるプランを胸に、ふたたびShadowへと旅立つ。Shadowの概念について本作でより解き明かされている。

"I was walking in shadow, seeking a place, a very special place. It had been destroyed once. but I had the power to re-create it, for Amber casts an infinity of shadows. A child of Amber may walk among them, and such was my heritage. You may call them parallel worlds if you wish, alternate universes if you would, the products of a deranged mind if you care to. I call them shadows, as do all posses the power to walk among them. We select a possibility and we walk until we reach it. " 

私はshadowを歩き、ある場所を、とても特別な場所を探していた。
そこは一度破壊されたのだが、私には再構築するパワーがあった。
Amber は無限のshadowsを配置することができるからだ。
Amber の子どもは望むならその間を行き来でき、その経験が私の財産である。
望むならパラレルワールドと呼んでもよいし、平行世界でもよい、狂った精神の創造物でもかまわない。
その間を行き来する全ての常連たちのように、私はそこをshadowsと呼んでいる。
われわれは可能性を選択し、そこに到達するまで歩くのだ。


そういうわけで、「私」は数世紀前に訪れていたshadowのひとつ、Avalonへと向かった。目的のものがそこにあるからだった。



[Circle]

●Avalonへの途上Lorraineとよばれる国を訪れる。偶然道ばたで助けた瀕死の戦士を担いで送り届けると、彼の君主はなんと、かつての部下であったGanelonであった。Ganelonは数世紀の昔、裏切り者として、「私」によって別のshadowに(Ericが私にそうしたように)追放されたのだった。思いがけない再会に驚きつつも、Ganelonは私の正体には気づかず、Corey of Cabraと呼んで武術指導者としての帯同を許した。私はしばらくそれに乗ることにする。
●謎の現象”Circle”がLorraineに甚大な被害を及ぼしていた。陸の端から端まで覆うばかりの怪しげな風・光・炎の輪で、同時に猫や鹿の怪物のような不気味な魑魅魍魎も暴れており、国は疲弊していくばかりであった。Ganelonは”Circle”の中心にある砦に攻撃を仕掛ける。「私」はGanelonに加勢し、砦を陥落。”Circle”現象は実は私がAmberを抜け出すときにかけた呪いの言葉、つまり絶大なAmberの王子のパワーによってもたらされていたのだったことがわかった。
●ともに戦ったGanelonに私は正体を明かし和解する。Ganelonはふたたび私に仕え、ともにAvalonへ向かうことにする。


[Avalonへ]

●GanelonによればAvalonは陥落していたので、別のshadowに存在するAvalonへ向かう。そこで私の兄弟Benedictと再会する。彼は「私」の上の兄弟でどういうわけかAvalonのprotector(守護者)となっていた。何らかの理由で右手を失っていたが、私を上回る力は失っていなかった。Benedictは好意的ではあったが、敵とも味方とも判断がつかない。
●私はBenedictの孫と名乗るDaraと出会う。17歳くらいに見える彼女は剣術も達者だった。どうやらBenedictは彼女の存在を秘匿しているようだった。彼女はBenedictのカードを見て私の顔を知っていたという。
●Avalonを訪れた目的、それは私だけの過去の体験による。Amberは火器が無効の世界であったのだが、私はかつて、たまたまDeirdereから贈られたブレスレットをAvalon産の”jewelers rouge”(宝飾職人の研磨用ルージュ)で磨いていたとき、それがなんと発火することに気づいたのであった。この現象はいつか役立つのではと、密かに心にとどめていたのだ。この現象を活かしAvalonで”jewelers rouge”を入手したのち、Earth shadowで銃器を調達し、Amberに乗り込むのが私の計画だった。

私の計画は実現するのか? Benedictの態度はどう決まるのか? 謎の少女Daraとは?
Ericとの決戦へ向けて、物語は動き出す・・・


[読後]

かつてこんなシーンがあった



剣と魔法の世界で、銃があったら? そんな現代人の発想に遠慮無く踏み込んだ掟破りの意表のプロットで、そこに「私」(Corwin)を中心に人間模様の謎が絡み、なかなか楽しめる内容だった。同時に「私」のセリフの端々に、われわれ現代人風の感性が染みついた表現が垣間見え、それがよい味を出している。物語の中では、われわれの世界は無限にあるshadowの中のひとつであるものの、そこに長く投げ込まれていたAmberの王子がいつしか現代感覚の視点も重なっているのだ。

"Non of your business, Charlie. Lady bird Lady bird, fly away home~" 
おまえらには関係ない、間抜けめ。てんとう虫、てんとう虫、おうちにお帰り〜

Charlieという別称は現代米語の俗語だし、後半くだりはマザー・グースの一節だ。もちろん彼らは通常英語ではなく"Thari"という言葉で会話している設定の中でである。

"My hope was that my coup would be as quick and painless as a tooth extraction under gas," 
私の一撃がまるで麻酔を施した抜歯のように痛みの無いものでありますように

あるいは

"Damn! It's as persistent as an insurance salesman!"
くそっ!保険外交員と同じくらいしつこいやつめ!

などなど、ふとしたときにニューヨーカーの「私」がでてしまう。剣と魔法の世界と現代感覚のブレンドが本シリーズの個性だ。
Ericとの決戦で忠臣Ganelonが甲冑ではなく

"Ganelon, now wearing khakis and a bert, " 
Ganelonは今や、カーキ色の軍服にベレーをまとっていた

と、なかなか斬新。兄弟間のどろどろとした醜い覇権争いという本筋にもかかわらず、なんだかからっとした読後感なのは「私」の現代人の感性が機能しているからなのだろう。
多くの未解決の謎が残り、ぜひとも引き続き続編を読みたい気持ちになった。

CORGI版の表紙に描かれているのは”Circle”の大猫だろうか。

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