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The Mind Game / Norman Spinrad






カルトを題材にした軽めのサスペンス



24冊目。
Norman Spinradの"The Mind Game"(1985)を読了。日本語版未訳。
Spinradは、もともと寡作な上に翻訳も少ないのであまり知られていないが、アポロ賞(仏SF文学賞)受賞作の『鉄の夢』や、マッスルウーマンの後ろ姿のイラストが鮮烈な『はざまの世界』などニューウェーブ以降の米国作家だ。

たまたま、すごい圧力の表紙絵に誘われてゲットしたものの、結構ぶ厚いので読破には時間がかかるかなと思ったのだが、2つの理由で案外すっと読めた。ひとつは、85年作ということもあるのだが、これまで読んできた中で群を抜いて現代米語で、かなり読みやすかった。dirty wordがこんなに多いのも初めてだが・・。2つ目は、ちょっと残念な理由なのだが、なんとSFではなかったのだ。まあ、広ーっくとらえるとくくりの端っこくらいに入っていてもいいかもしれないが、Michael CrichtonがちょっとSFと言いづらいのと一緒で、要はSF的なガジェットや、発想の跳躍に乏しい・・というか無い。途中、読んでいて「あれ、おかしいな」と気づいたときは後の祭り。その分、引っかかりも途中下車も無く、読みやすいと言えば読みやすい一冊だった。


SFではないので、アウトラインのご紹介もまあいいやとも思ったが、これも経験と言うことで、やはりご紹介しておこう。

主人公の名はJack Weller、ハリウッドでテレビのB級番組を制作している中年のTVディレクターだ。彼はなじみの脚本家で友人のBob Shumwayに誘われて、妻であり売れない女優でもあるAnnieと連れだって、ビバリーヒルズで催されていたとある集会に参加した。

"Celebrity Center"と呼ばれていたそこで行われていたのは、"Transformationalism"(変容主義?)と呼ばれるカルト教団の集会であった。教祖の名はJohn B. Stainhordt。300冊以上の著作のあるSF作家であった彼は、あるとき”Transformation Man”という著書を発表。それを教義として発展させていったのである。そのカリスマ性と、"the highest conscious"(最高意識)の体得者としてStainhordtは世界を掌握するほどの影響力を持ったカルト教団を作り上げたのだった。

Jackはまったく興味も関心も持てなかったのだが、なんと妻のAnnieはひょこひょこ一人でLAにある"Transformation Center"にお泊まりに行ってしまう。子どもも無かった二人の夫婦関係はもともと微妙だったせいか、Annieはすっかり"Transformationalism"の虜となってしまう。そして、最終的にはJackの反対を押し切って"Transformation Center"に住み込みに行ってしまった。

警察へ届けても「詐欺は地方検察へ」と相手にしてくれない。Jackは洗脳解除の専門家Gary Bailorに妻の奪還を依頼する。彼はJack自らがLA"Transformation Center"に潜入する計画を立てた。実は"Center"のヘッド、Benson AllenがStainhordtのSF小説”Transformation Man”にインスパイアされ、教義としての"Transformationalism"を創設した中心人物であった。

"Transformation Center"では、"processing"(処置)と呼ばれる一連の修練が行われていた。機器によって脳内の妨げとなっている「精神の解放を妨げるよからぬこだわり」を発見する"block-auditing"(障壁探査)、"meditative deconditioning"(瞑想調節法)など。信徒は修練をクリアしていくごとにステージが上がっていく。Jackは"Transformationalism"に怒りを覚えながらもこうしたプロセスを甘受し「信者のふり」をしながらAnnieの情報を得ようと教団内部へと探索を開始する。

信者内で恐れられている"monitors"(監視者)と呼ばれるいわば教団の秘密警察の網をくぐり、彼は妻が"monitors"の監視の下、なんと教祖Stainhordtの膝元でスタッフとして働いていることを突き止める。次第に教団に深入りしていくJackは教祖の妻Mariaとも知り合うことに。果たして、彼は妻を無事奪還できるのか・・・



ハリウッドのセレブたちのあいだで密かに浸透しているこれに似たカルトというのは実際にあるようで、わりと有名なハリウッドスターがはまっている噂話は聞く。しかし、われわれ日本人が知る背筋も凍るような本当の怖さは表現されていない。なんとなく夫婦の絆とそれをひき裂くわるもの教団の対決を扱った2時間サスペンス、味付けに教祖の奥さんと浮気しちゃいました、ぐらいの感じで、かなり肩すかしだった。そういう意味で、軽めだったが、といって重いのもあんまり読みたくないなぁ〜

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