No Different Flesh / Zenna Henderson






謎の小路のその先にあるもの



26冊目。
Zenna Hendersonの"People"シリーズ、"No Different Flesh"(1967)(『血は異ならず 』)を読了。ハヤカワ文庫版は残念ながら絶版状態のよう。

 
前回少しアウトラインを張り切りすぎたので、今回は少し控えめに。





NO DIFFERENT FLESH



人里離れた峡谷は夏の嵐だった。その夜、Mark Edwordsは大学生用の教科書の執筆の締め切りに追われタイプを叩いていた。妻のMerisは嵐のさなか、赤ん坊の泣き声を聞いたような気がして目が覚めてしまった。翌朝晴れると、Markは原野で赤ん坊を拾ってきた。黒い瞳、カールした髪。怖すぎて泣くこともできないのか、静かで用心深い表情。そして不思議な素材のアウターを羽織っていた。しかも自力で嵐を避けるように木株の陰に潜んでいたよだというのだ。しかしよく見ると赤ん坊ではなく、3~4歳の小さな女の子だった。彼女はひとこと「Muhlala」と発した。子供を一度亡くしたMerisは彼女に"Lala"と名付けた。
Lalaと三人で散歩をしていると、クリークでメタリックな人形のような物体を見つけた。Lalaは「Deeko」と叫んだ。Markは今度はメタリックなポッドも見つけた。あきらかに地球のものではない、スペースカプセルのようだった。動力、燃料、食料も無いようで、あるいは救命ポッドのように見えた。Markは一つの推論に達した。LalaはETなのでは、と。
そのときLalaがふわりと飛翔した….




DELUGE



“Home”(故郷)は”Gathering day”(収集の期)を迎えていた。「私」(Eva-Lee/おばあちゃん)と息子夫婦(Davidと’chell)は、"People"にとって慣習的に「求愛期」ともいえるこの時期、発光する甘美なる“failova”や”flahmen”の花弁を採り、愛を語り合うのだ。「私」にとってこの時期はThann(おじいちゃん)が、”Called”(召還)ことが心思い出されしんみりしてしまうのだった。”Peaple”は、定められた寿命を全うすると、Power”(大いなる力)によって”Presence”(霊的存在)のもとへに召される定めにあった。
浮揚をおぼえたての5歳のEva、透視を授かったSimon、息子夫婦の子どもたちもそれぞれにこの期を敏感に感じていた。特にお年頃のLethaは、”Four-ing”(ダブルデート)で“failova”採りに山を訪ねたが、なぜかほとんど収穫できなかった。"Gathering day"には咲き乱れるはず。これは異様な事態だった。
”Old one”(長老たち)の集会で。”The Oldest”(最長老)によると、もはや”Home”は壊れてしまった。われわれはここを離れ、星々の何処かにある避難先となる新たなる”Home”をさがさなければならない、というのだが…




ANGELS UNAWARES



時は開拓時代の19世紀。夫のNilesと「私」(Gail)は新天地を求めて、家畜と家財一式載せた大型馬車でMarginへ向かう途上だった。彼の地でNilesは採掘工のキャリアを開始したかったのだ。と、異様な光景に出くわした。インディアンの襲撃にあったのか、焼き払われ、崩れかけた無惨な家屋。焼けた匂いが一面に立ち込めていた。しかも残忍なことに少なくとも4人が意図的に縛られ焼かれていた。焼け跡で呆然としていると天井から、女の子が落ちてきた。髪の毛が焼けてしまっているが、無傷だった。恐怖で口がきけないようだった。Nilesは焼け残った扉に貼られていた「Ex.22:18(出エジプト22:18)」と記された紙片を見つけた。
彼女を保護し、一緒に進むことになった。次の寄留地は、なにやらやっかいな街”Grafton’s Vow”だった。そこはけして旧約聖書の立法を破ってはならないという厳しい戒律を科す、宗教家が興した街だった。私たちは女の子をMarrineと名付けた。と、見間違いだろか?彼女がひらひら浮き上がった…




TROUBLING OF THE WATER



1899年。ロビンソンクルーソーと。いくつかの読み物が大好きな「ぼく」(Barney・15歳くらい)は、父(James)と連れ立って干ばつに喘ぐ荒野の僅かな緑地にある畑や果樹園のため、水源を求め山麓を探索していた。ママ(Rachel)は、幼いMerryを背負いながら、家を守っていた。ママは父に採掘業を勧めていたが、山っぽい仕事よりも、一握りの種と信仰があればいきていける、そんな地に足のついた生き方を好んだ。だが、深刻な水不足でこのままではジリ貧の状態であった。
その時、空に閃光が走り、燃える火の筋がジグザグに、山麓とぼくらの果樹園をかすめ、地上に滑り落ちてきた。はじめは干ばつ特有の現象かと思ったが、地に残った黒々とした焦げ跡の先は火事になっていた。父はぼくに指示しながら、なんとか火に対処した。すると、なんと火の中に黒焦げの人を見つけた。よく見ると男の子で、目は見えないようだったが、火傷はそんなにはひどくない様子だった。
男の子を家に連れて帰ると、ママが包帯を巻いて手当てをしてあげた。ママは彼をTimothyと名付けた。しかしぼくら訝った。この辺境の土地に、一人で、しかも徒歩では誰も来れないはずなのだが…




RETURN



「私」(Debbie)とThannel(Thann)は宇宙船で「新しいhome(故郷)」を後にしていた。地球の”group”(同胞)と袂を分かち、移住してきたプロトタイプの”home”は、人工的であまりに完璧すぎて、とても「私」の感性に合わなかった。あの懐かしい地球のCougar峡谷に戻りたい・・。懐かしいちょうどその頃知り合い結ばれたThannを説き伏せ、二人で地球へ出戻ることに決めたのだ。しかも「私」には新たな命、”Child Within”(お腹の子供)宿っていた。
“Motiver”(起動者)ではない「私」は地球へランディングするまで目をつぶって耐えること以外できなかった。大気圏突入を知らせる甲高い警告音。「私」は”Child Within”に手をあてながら目をつぶるしかなかった。もうすぐ地球に残っている”People”に会える…ValancyやKaren、Francher Kidに…
しかし着陸と同時に異変に気付いた。懐かしいBaldyy山が、どういうことか、あるはずのない大水にのみこまれていたのだ。「私」たちの船は大きなみずしぶきをあげて、水中へ突入した…




SHADOW ON THE MOON



母の誕生日の日、「私」(Shadow )は父と1つ上の兄のRemyの議論を黙って聞いていた。Remyはどうしても月に行きたいと、今日も父に説得を試みていたのだ。父は行った「お前はABCが分かっていない」「A : 何があっても我々が月に行ったこと “outsider”(地球人)に
知らせてはならない」「B : いまのところ可及的に月で見つけねばならないものなどない」「C : 我々は一度行っている。そしてこちらから月を眺めていることに満足してるんだ」。Remyは口惜しくて家を飛び出していった。「私」は実はRamyが本当に月に興味があるのではなく、意地っ張りでで、父や母に反発しているだけだとわかっていた。いつも、特に根拠もなく、いつか宇宙船を造ってみせると夢見ているのだった。
Remyは“Motiver”(起動者)の”Gift”(授かり能力)がなかったので、Ronのもとへ訓練に行くとしばらく家を後にした。残された「私」は母(Bettie)から暇なあいだ、別の”Gift”でも伸ばしてしてみればと勧められた。いつしか「私」は地下に隠れた金属を感知する能力が開発された。しばらくしてRemyは憤慨して戻ってきた。やはりRonにRemyの子供じみた本心を看破され、送り返されたのだった。 Remyに新しい能力のこと、鉱山に地下で見つけたピカピの金属塊を話すと喜んで、ふたりで探索に行ってみたのだが…




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“Pilgrimage"(1959)(『果てしなき旅路』)があまりにはまってしまったので、もう1冊読めるのはうれしい。
前作は、ある程度時系列に沿って”People”たちが失われた同胞探し求める連続性のある展開だったが、本書は表紙に"THE NEW CHRONICLE OF THE PEOPLE"とあるように、収録の6編の時代背景はまちまちで、米国開拓時代から現代(60年代)まで、”People”の年代記という趣向。
読み手は主人公とともに何らかの謎の小路に迷い込み、一見救いのなさそうな展開であっても、必ずほっこりしたエンディングに収束にほっと胸をなでおろす、という基本構造も踏襲しているし、前作で登場した”People”の名前も時々出てきて、なんだか懐かしい気分になってしまう。前作同様、旧約聖書からの引用もあるが、まあ旧約聖書が出てきたら律法(厳格な神の規定)の世界観ね、くらいに思っておけばよい。
また、前作同様物語の軸は子どもたちである。自分のようなひねた読み手は子どもが出てくるだけでついズルい、と思いがちだが、本シリーズに関しては微塵に感じなかった。それだけ感情移入できる物語だったのかな。
この設定なら、まだまだ続けられそうに思えるが、本シリーズはこれっきりで打ち止めなのは残念。
最後に表紙のイラスト、前作はあんまりだったが、今回はとってもよい。

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