Slan / A.E. van Vogt



2冊目。
A.E. van Vogtをぜひとも英文で読んでみたかった。熱中して読んだ『非A』や『イシャー』でもよかったのだが、“Slan“にしてみた。もちろんこれもかつて邦訳を読んで興奮した記憶があったが実際ほとんど覚えていなかった。40年代にジュブナイルとして書かれたらしく文章が少し古い感じなのは仕方ないが、その分平易で、展開もシンプルなのでストーリーが追いやすかった。
テレパスなどの人知を越えた能力を持つ超種族であるミュータント、真性スランJommyへの人類によるいわれのない苛烈な迫害の中、父から譲り受けた技術を武器に徐々にさまざまな謎に迫っていく孤独な戦いの物語はまさにSFクラシック。登場人物はかなり型にはまっているし、ディテールの掘り下げはこの際どうでもいいといわんばかりの強引な物語運びに、いささか物足りなさは感じる。
それでも光る描写もある。真性スランKathleenとの一瞬だが幸福な邂逅が胸を打つ。探しに探し、父母以外では初めての、ようやく出会った美しい真性スランの娘。夜のまどろみの中で張り詰めた心を開き合い、互いの意識が混じり合い、やがて誰の意識なのか判然としない中KathleenがJommyの意識の中に語りかける。"It was mine, Jommy" 。SFの中でも屈指のロマンチックなラブシーンだと思う。この美しい描写が結果的に驚くべき結末への複線にもなっている。
表紙に関しては、世界観を表現している早川文庫版のすばらしいイラストもよいのだが、こちらの表紙の孤独感も捨てがたい。



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